【多くの施設で、多くの店長が、同じ迷いを持っています】


「やりずらいな・・・」

そう思ったことが何度もありました。


ある観光施設のレストランで店長を任された時、

まだ20代であった私は、

自分よりも年上のスタッフたちの上司という立場になりました。


調理師の方々は、40代~50代です。

ホールスタッフの中にも40歳を超える人たちもいました。


「今日はお客様の入りに期待できるから、

売上○○万円を目指してがんばりましょう!」

そう朝礼で掛け声をあげて、


「○○君は、まず外の掃除ね!」

「○○さんは、テーブルふいてくれる!」

という具合に、

若いスタッフには、何の抵抗もなく指示が出せるのですが・・・


自分より年上のスタッフを前にすると、

「○○さん、グラスの準備お願いします。

あっ、忙しいですよね。。。じゃ、それ終わったらお願いします・・・」

という感じで、


どこか遠慮しているような、

相手の顔色をうかがうようなことがありました。



実際、その当時は、思っていました。


「年上のスタッフなんて、扱いにくいよ!」

「若い子なら何でも言いやすいのに・・・」


そして無理をして虚勢をはって、


「私の指示に従ってくださいね!

それはさっきダメだって言ったでしょ!」

という具合に、変に意識し過ぎて、

スタッフとのコミュニケーションが乱れてしまったこともありました。


そんな時、先輩や上司に相談すると、

「店長なんだから、年齢は関係ないから気にするな!」、

「うまくさじ加減して、年上にも敬意を感じさせろ!」、

「年上には、あんまり細かい指示を出さないで任せろ!」など


そんなアドバイスを受けて、


「どうしたら、年上のスタッフを従えることができるか!?」

「どうやって、年上のスタッフとコミュニケーションするか!?」

というような“方法論”をさがしていました。



確かに、

会社組織ですから、年齢に関わらず、そんなことは気にせずに、

店長である自分は、その責任をはたせば良いだけかも知れません。


年配者には、一定の敬意を示し、

お互いに気分よく仕事ができる環境を作れば良いという考えもあります。


しかし、それでは、

「この問題の本質的な解決にはならない!」

ということを学びました。


では、どうすれば良いのか?



「年上の部下やスタッフをどう扱うか!?」

「どうやってコントロールするか!?」

という“方法論”にフォーカス(意識を向ける、注目する)するのではなく、


『“自分自身にフォーカスすること”が最も良い解決策である』

ということに気が付いたのです。



それをひとことで言えば、

『店長としての自信をつける!』

そこに目標を定めます。

その一点にフォーカスするのです。


部下となる相手が、年上であっても、

経験(キャリア)豊富なスタッフであっても構いません。

相手は関係ないのです。


“変わるべきは自分”ということですね。


『店長としての自信』をつければ、

どんな人とも自然なコミュニケーションができるようになります。

指示も命令も、変に相手を意識する必要がなくなります。

そして、店長としての職責をはたすことができるのです。


つまり、

年上のスタッフを部下に持ったら、

自らの成長のチャンスと捉えて、

日々の業務に、全力であたれば良いのです。


『店長としての自信』は、

毎日の仕事に真剣に向き合うことから生れます。


「今日もベストを尽くそう!」

という気持ちで、店長職に取り組んでいれば、

必ず大きな自信を手にすることができます。


そしてその自信は、

年齢や経験(キャリア)を問わず、

すべての部下(スタッフ)に自然に伝わるのです。



そうなれば、誰が相手でも関係ありません。


大きくなった自分(店長)が、

店で働くすべての部下(スタッフ)たちを包み込むように、

統率のとれたチームを形成していくわけです。


理想論に聞こえるかも知れません。


でもこれは、「年上の部下を持つ」という現場の体験を通じて、

私自身がたどりついたひとつの答えです。


フォーカスすべきは、

「何らかの方法で人を従えよう(コントロールしよう)」

という着眼点ではなく、


『仕事に打ち込み、自信を持った自分に変わる!』

ということなのです。



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□■ 観光施設 今日の仕事のヒント 
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『店長としての自信を持てば、チーム創りの多くの悩みが解決する』


“仕事のヒント”にピンと来たら、まず行動!それが未来を創ります。

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★編集後記★
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ある時、

20歳以上も年上の部下(ホールスタッフ)から言われました。


お酒の席なので、勢いもありますが・・・


「最初は、こんなに若いのに店長だなんて“イケ好かない”と思いましたよ。

店の連中がみんな店長にペコペコしてるし・・・

でも途中でわかったんですよ。

みんなが店長を尊敬してるんですよね。

一番がんばってるし、店のことをいつも考えてるし・・・

それに気が付いて私も考えが変わりましたよ」


こんな言葉をもらうと、あれから20年近くたっても忘れませんね。


現場は“生やさしくない”ですし、

人も“生やさしくない”という現実がありますが、

「できる!」と思えば、きっとその目標に到達できると信じています。


2014.12.28発行号
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宮内直哉の『1分で読める 観光施設 仕事のヒント』  |Vol.567
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