【長く飲食業に携わってきて思うことです】


「またあそこに行きたいな!」

子供たちから言われます。


「いつか、また行こうね!」

そう答える私がいます。


子供たちが「また行きたい!」と言っているのは、

ある“回転寿司”のお店です。


回転寿司のお店なら、

早く連れて行ってあげたら?

と思われる方もあることでしょう。


でも、その回転寿司のお店は、

簡単には行けない場所にあるのです。



そのお店は、

長野県の諏訪市にあります。


私たち家族が長野県で暮らしていた時に、

たまにみんなで食べに行っていたお店です。


とくに個性的なお店ではありません。


味も、見た目も、値段も、ごく普通の回転寿司店です。


どこにでもあるようなお店・・・


もちろん大阪にもいくらでもある回転寿司の店・・・


それでも子供たちは、

「もう一度、あのお店で食べたい!」と言います。


私もまた訪れたいと本心で思っています。



なぜでしょうか?



それは・・・


そこに「思い出」があるからです。



お寿司の味や、見た目や、値段は、関係ありません。


そのお店には、私たち家族が“楽しい時間を過ごした思い出”があります。


つまり、「物(モノ)」ではなく、

「事(コト)」を求めているということです。


『あの時、家族みんなで食事を楽しんだ“あの店”』


それが私たち家族の心に刻まれていて、

忘れることのない“大切な思い出の店”になっているのです。



観光施設で飲食部門(レストラン、食事処)を経営していると、

お客様との会話や、アンケートの回答などで、

こんなことを言ってくれるお客様があります。


「5年ぶりに訪れましたが、懐かしい思い出がよみがえりました」


「あの時は、まだ小さかった子供も大きくなり、感慨深いものがあります」


「始めて食事をした時は、まだ恋人だった私たちが、今では夫婦です」



レストラン、食事処で、

お客様に食事を提供するということは、

『お客様の思い出を創るという素晴らしい仕事』なのです。


料理や飲み物という物(モノ)をお求めいただくだけでなく、

その店で過ごす時間と体験という事(コト)をお求めいただきましょう。


「その店で過ごす食事の時間は、

お客様にとって、どんな“思い出の時間”なのか!?」


そして、

「その“思い出の時間”を創るお手伝いができないか!?」

そんな想いで仕事に向かうことが、


“飲食業の喜びを知る”ことであり、

毎日頑張るみなさんにとっての“飲食業の誇り”なのです。


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□■ 観光施設 今日の仕事のヒント 
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『“楽しい思い出”“嬉しい思い出”を求めて、お客様は店に帰ってくる』


“仕事のヒント”にピンと来たら、まず行動!それが未来を創ります。

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★編集後記★
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「あっ、このお店!前に入ったよね!」

「○○さんと来たのがこのお店!」

「このお店で○○さんと・・・」

そんな会話になることって多いですね。


大抵は、

何を、いくらで食べたか?

ということよりも、


いつ、誰と、どんな食事時間を過ごしたのか?

ということが自然に言葉に出てきます。


やはり、飲食店は、

思い出をプロデュースできる仕事です。


2015.02.05発行号
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宮内直哉の『1分で読める 観光施設 仕事のヒント』  |Vol.581
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